ダイヤモンドは鉱物で、炭素(元素番号6、元素記号C)の同素体の1つです。ダイヤモンドと黒鉛は同じ炭素の同素体ですが、分子構造が違うため、まったく違う鉱物になりました。ダイヤモンド最大の特徴である固さは、炭素原子の結合構造が等方向性結晶(全方向に配列が均等)になっているためです。また、ダイヤモンドは単一元素で出来ている唯一の宝石です。
ダイヤモンドは地球内部の高温高圧の環境で生成されました。最も浅いところで地下120m、最も深いところでは地下200㎞の大陸プレート(岩盤)から算出されます。ダイヤモンドのほとんどはキンバーライト(キンバリー岩)という火成岩の中から産出されます。ダイヤモンドは紀元前数千年、今から4千~5千年前のインドで発見されたといわれますが、おそらく地殻変動や浸食などによって地表近くに現れたものが偶然見つけられたと考えられます。
ダイヤモンドが含まれるキンバーライトが分布するのは、大陸の古い地質ですので、残念ながら日本列島からは産出されません。現在ダイヤモンドを産出しているのは南アフリカ共和国、ボツワナ、コンゴ民主共和国、アンゴラ、ナミビア、ガーナ(以上アフリカ大陸)、ロシア、中国(ユーラシア大陸)、カナダ(アメリカ大陸)、オーストラリア(オーストラリア大陸)などです。この他、少量ですがインドやブラジルからも産出されています。現在最も産出量が多いのはアフリカ各国とロシアです。ダイヤモンド1㎏を取りだすためには、地下深くから数千トンもの岩石を掘り出さなければならないとされ、このため非常に高価なものになりました。
紀元前の発見当時から非常に貴重な石だったことは確かですが、研磨する技術がなかったため、その比類なき固さが神秘性を持ち、中世では魔除けとして珍重されました。15世紀にダイヤをダイヤで研磨するという方法が考案されて宝石としての価値が高まり、17世紀になってブリリアン・カットの基本といえる複雑なカットができるようになってから、現在のような宝石の王様となったのです。それ以後、ダイヤモンドには様々な伝説が生まれるようになりました。スミソニアン博物館に所蔵されているブルーダイヤモンド「ホープダイヤモンド」や、イギリス王室が所有している「カリナン」は有名で、特に「カリナン」は史上最大のダイヤモンド原石としても知られています。
ダイヤモンドは、本来、宝飾品としてではなく、むしろ希少性や硬度、耐薬品性、つまり変質することのない性質などから、権威の象徴として尊ばれてきたのです。また、産出量がごくわずかだったこともあり、王侯貴族や富豪しか所有できない宝石でした。婚約指輪などでダイヤモンドジュエリーが一般に広く購入されるようになったのは、ほんの数十年前からです。
4Cとは、ダイヤモンドの品質の指標としてGIA(米国宝石学協会)が考案したもので、現在、世界的に認められた品質評価指標です。
第1のCは「カラット」(重量)です。ダイヤモンドなどの宝石の質量を表わすカラットは、現在1カラット=200㎎(0.2g)と規定されています。
第2のCは「カラー」(色)です。ダイヤモンドは無色透明だと思われがちですが、実は多くのダイヤモンドに黄色みがかった色があり、無色透明に近いほど価値が高くなります。ただし、「ブルーダイヤモンド」のように、色が付いていても高価なダイヤモンドも稀に存在します。
第3のCは「クラリティ」(透明度)です。天然ダイヤモンドの場合、どうしても内部に不純物や割れ目などが生じます。「クラリティ」は透明度と理解されることが多いのですが、本来は「不完全性」や「無欠陥性」を意味します。鑑定では、10倍のルーペで拡大して欠陥が発見できない場合を「無欠陥」の最高グレードとしています。
第4のCは「カット」です。簡単にいうと磨き方です。ダイヤモンドは磨かなければ宝石としての価値はありません。カラーやクラリティがいくら上質でも、カットが悪いと輝きません。カットにはプロポーションとフィニッシュがあります。プロポーションは宝石内部で反射する光に深く関係します。フィニッシュは研磨の質に関係し、光沢に影響があります。現在、最も理想的なカットはエクセレントカットだとされています。
ダイヤモンドを表側と裏側から観察し、8つのアロー(矢模様)とハート像が観察されるようなダイヤモンドを「ハート&キューピット」と呼び、サブグレードとして鑑定に加えている鑑定機関もありますが、GIAでは採用していません。しかし、市場では多少相場が高くなっています。
宝飾品ではなく、資産としてダイヤモンドを購入する場合、1カラット以上、カラーは無色かほとんど無色(最高ランクD)、クラリティは無傷か拡大しても発見が非常に困難なグレード、そしてカットはエクセレントが望ましいとされています。1カラットを超えるダイヤモンドは非常に少なく、また、クラリティグレードFL(無傷)は、ほとんど市場に存在しないといわれるほど希少性が高いので、資産価値が高くなります。
ダイヤモンドの鑑定機関は、GIAのほかにベルギーのダイヤモンド公式代表機関であるHRDやFGA(英国宝石学協会)が知られていますが、そのほかにも多数の鑑定機関があり、日本にも中央宝石研究所、全国宝石学協会、AGTジェムラボラトリーなどの鑑定機関が存在します。
現在ダイヤモンド鑑定の基本となっている「4つのC」を確立したことで知られるGIA(Gemological Institute of America)は非営利団体で、ニューヨークにダイヤモンドグレーティングラボラトリーがあり、また、カリフォルニア州に宝石学教育機関があります。GIAは、それまで鑑定基準がバラバラだったダイヤモンド鑑定に統一した基準を導入して、ダイヤモンドビジネスの透明性を飛躍的に高めました。その信頼性は高く、著名なジュエリーブランドやオークションもGIAに鑑定を依頼しています。現在のところ、世界で最も信頼できるダイヤモンド鑑定機関として、広く認知されています。
ダイヤモンドが金(ゴールド)と決定的に違うのは①軽く小さく携行に適している、②身につけるか身近に保管して自分で管理することができる、という性質です。
ダイヤモンドの資産価値を知っていたのはユダヤ系の人々でした。実は、現在でも、世界のダイヤモンド・ネットワークの多くでユダヤ系の人々が活躍しています。なぜユダヤ系の人々がダイヤモンドを珍重したのか? それは迫害される民族が、身につけて隠すことのできる財産だったからです。第2次世界大戦以前、自分の国を持たなかったユダヤ系の人々は、住んでいる国の通貨を信用せず、財産を貴金属に替えて身辺に隠し、非常事態にはそれを持って国外へ逃亡しました。貴金属は世界のどの国でも換金することができ、それを元手に新しい国で新しい生活を始められたのです。
貴金属の中でも、特に尊ばれたのはダイヤモンドでした。他の宝石よりも市場価格が安定していて、しかも金よりも軽く小さいので、隠し持つのに適していたからです。仮に、1億円の価値の金塊があるとして、その重さは50キロから100キロ(相場によって変動します)になりますが、ダイヤモンドなら1千万円のダイヤモンドたった10粒です。現金1億円も、けっこう嵩張り重いものです。
金・銀・プラチナ・ダイヤモンドなどの貴金属が資産として注目されている理由は、大きく分けて4つあります。
第1は、国際的な政治・経済の混迷です。欧州ではギリシャを先頭にスペイン、ポルトガルの財政悪化が深刻化し、特にギリシャはデフォルト(債務不履行)の瀬戸際にあります。一方アジアでは中国経済が過熱し、インフレの抑制に四苦八苦しています。国家財政が破綻すれば、通貨や国債は紙くずとなります。
第2は、大災害の不安です。日本は東日本大震災と原発事故で甚大な被害を受けました。日本人の最も基本的な資産である家や土地は消滅し家財道具は失ってしまいました。たとえ直接の被害がなくても、原発事故の影響で自宅から離れなくてはならなくなった人も大勢います。
第3は、金融機関への不信感です。1990年以降、日本では北海道拓殖銀行など多くの金融機関が破綻しました。また、ペイオフ(預金保護)のシステムが変わり、現行制度では金融機関が破たんした場合、利息がつかない預金(当座預金など)以外の普通預金などは、最高額1000万円とその利息までが保護の対象で、その額を超えた場合は、全額返還されるとは限りません。
現在日本はデフレで苦しんでいますが、中国のようにインフレで苦しむ国も少なくありません。インフレは通貨の価値を大きく下げてしまいますから、同じ預金額でも、その価値が下がるのです。中国では貴金属投資が活発化していますが、その背景にはインフレがあります。また、通貨の価値が崩壊してしまう極端な例としてデノミネーション(日本では通貨切り下げの意味)があります。日本に近いある国家でデノミを実施した際、タンス預金が紙くずになったことに怒った国民の反発から大混乱し、担当者が処刑されたと伝えられます。
第4は、株式市場の低迷です。株式市場はリーマンショック以降低迷を続けており、リスクの高い投資となっています。業績の安定している大企業の株式を資産として保有していても、原発事故の東京電力のように、いつ大問題が発生して株価が暴落するか、予想できないのが現実です。
このように、不安定な政治・経済情勢や大災害などが、不動産、銀行預金、ゴルフ会員権、あるいは大企業の株式などの従来の方法での資産管理が「安心できる資産」といえない状況を作り出しているのです。
日本は政治・経済システムが安定しており、財産が完全に失われてしまうという非常事態が起こる可能性は低いといえます。しかし、大きな災害の危険性は常にあり、また、財政悪化がギリシャのような国家的危機を引き起こす可能性や、戦争に巻き込まれる可能性も否定できません。日本の周辺は、必ずしも永続的な平和状態が続くとはいえない不安定な政治環境にあります。
ダイヤモンドを資産として、あるいは投資目的で保有する場合、世界的な公開市場が確立されていないこと、鑑定など複雑な過程があることから、金などのように換金が容易ではないことが指摘されてきました。
しかし、こうした点については、「企業理念」でもご説明したように、ダイヤモンド市場の拡大に伴い、国際的なダイヤモンド・ネットワークグループであるRapaport(ラパポート)が、「ラパポート・ダイヤモンド・リポート」誌やネットを通じてプライスリストを発表しています。「ラパポート」のプライスリストは全世界のダイヤモンド取引の国際的な基準となっており、誰でも自由に検索することができます。
ダイヤモンドは素人の鑑定が難しいため、専門の鑑定機関が発行する鑑定書が唯一の保証書になります。当社の扱うダイヤモンドは、世界で最も権威あるダイヤモンド鑑定機関GIA(米国宝石学会)の鑑定を採用していますから、売買する場合の換金性も高いといえます。なお、「ラパポート」のプライスリストも、GIAの等級付けと証明が基本になっています。
かつてダイヤモンドは非常に高価だったため、資産家か王侯貴族だけのもので、市民にとっては高根の花の存在でした。しかし、多くの国で産出するようになって流通量が増えたことなどから、購入することも難しくなくなりました。特に、世界最大のダイヤモンド・メジャーであるデビアス社が婚約・結婚指輪などにダイヤモンドを推奨するキャンペーンを行って以来、日本でもダイヤモンドが定着ました。バブル期、日本は世界第2位のダイヤモンド輸入国になったほどです。
しかし、婚約指輪などに使用されるダイヤモンドの価値は、あまり高くありません。一般的な婚約指輪は40万円以下とされますが、ダイヤモンド単体での価値は、その4分の1にもならないのが大半です。ダイヤモンドを贈る愛情の価値は無限大でも、一般的な宝飾品としてのダイヤモンドには、資産価値がほとんどありません。それを知らずにダイヤモンドジュエリーを売ろうとして、その買取価格の低さに驚くというケースは多いようです。また、一般の方がダイヤモンドの価値を知らないことを利用して、本来の価値より低い価格で買う業者も存在するという指摘もあります。
こうした話が広く流布しているため、ダイヤモンドの価値そのものに不信感を抱かれるケースも少なくないようですが、ジュエリーと「資産」として保有するダイヤモンドは、まったく異なるものです。当社がお勧めするダイヤモンドは宝飾品ではありません。それは資産として価値あるダイヤモンドです。多くのダイヤモンドが市場にあふれている現在でも、真に資産価値のあるダイヤモンドを入手するのは、簡単なことではありません。それでも、混迷する世界経済、頻発する紛争や戦争、大地震などの災害などがダイヤモンドの価値を高めており、ダイヤモンドを購入する人は次第に増加しています。
ダイヤモンドの需要は世界的な不況の影響もあって、一時期低下しましたが、近年は急上昇しています。その要因は、インドや中国などでの需要が増加していることです。デビアス社は、近い将来、アジアのダイヤモンド消費量は米国を抜くと考えています。インドはダイヤモンド発祥の地であることからダイヤモンド信仰が根強い国ですし、中国は富裕層が急激に拡大し、資産を安全なものに換えて保有しようとする意識の強い国です。このように、ダイヤモンドの市場は拡大しており、当然、価値も高まっています。
日本はどうでしょうか。実は非常に有利な立場にあります。それは円高が関係しています。ダイヤモンドの世界的な取引はドルで行われます。資産価値が高いとされるダイヤモンド(1粒)は、専門家によると10万ドル以上のものとされますが、現在の円ドル相場では、10万ドルは約800万円。かつて1千万円以上の価値があったダイヤモンドを、800万円で手に入れることができるのです。